口パク、ダメ。ゼッタイ。
『NHK紅白歌合戦』…長年にわたり日本における歌番組の頂点であり、ほとんどの歌手にとってこの番組の出演が目標とされる偉大な存在…
と、言われたのも今は昔。特に21世紀になってからというもの低迷する視聴率ばかりが取り沙汰され、ジリ貧になっている状態だ。
取り敢えず、せめて口パク歌手だけは出場させるのは止めたらどうでしょうか?
素人以下の「歌手気取り連中」には紅白参加をご遠慮ねがおうか!!

しかし…よくよく考えてみれば今世紀になってからはB’zが出演した去年の紅白以外まともに観たためしがないし、今の自分にとってはどうでもいい問題のような気がしないでもない。
口パクといえば、LUNA SEAファンの端くれでもある自分とすりゃいろいろな理由があるにせよ、まさか彼らすら口パク上等の姿勢を見せるようになったのは失望しましたわ…
対して喉の不調で潔くエアロスミスのツアー活動に終止符を打ったスティーブン・タイラーがめっちゃカッコ良く見えただけに余計になぁ…
長年のファンだからこそ、今のLUNA SEAのやり方に対してはオレはノーを突き付ける!
そんな中で口パク問題なんぞの程度の低い話とは無縁な、あの「演歌界のお祭り男」がまだ夢舞台であった80年代の紅白で盛大にやらかした!
細川たかしである。
紅白初?の珍事、発生!
1984年、彼は新たにヒット曲を生み出した。代表曲の一つでもある『浪花節だよ人生は』だ。
リリース 1984年8月21日
作詞 藤田まさと
作曲 四方章人
編曲 佐伯亮
オリコン 6位
ベストテン 10位
売上げ 33万枚
元々は1976年に小野由紀子によって発表された楽曲。
後に木村友衛のカバーによって知名度を上げ、多数の歌手によって競作された。

その中でも木村バージョンと並んで大ヒットをかましたのが「オレ達の」たかし…!
彼をよく知らないナウなヤングでも、冒頭の「飲め~とぉ言われ~てぇ素直にぃ飲ぉんんだ~♪」という印象的なフレーズは聴いた事はあるだろう。
その年のレコード大賞では最優秀歌唱賞をゲットし、大晦日にはこの曲で紅白も出場。
さあ舞台は整いました、と。今年の締めに日本一の歌声を聴かせる時…
そしてたかしが口を開いた瞬間…!
「肩をぉ~抱かれてぇその気にぃ~なあぁった~♪」
「あ、あれ?」視聴者、全員困惑…みたいな?
続いてまたも「肩をぉ~抱かれてぇ~♪」と歌ってしまい、ここでハタと己のミスに気付くたかし!
そして照れ笑いを浮かべながら一言、「すいません、歌詞間違えちゃいました」

その瞬間、大爆笑と大歓声に包まれるNHKホール!
誰も予想だにしなかった歌い出しから間違えるというエンターテイナーぶりを発揮!
そんな光景を目にすれば、アタシだって腹を抱えて笑うしかないじゃないですかw
まさか日本一の歌手では飽き足らず、日本一の芸人にまでなってしまうなんて、な?
こういうアクシデントも生歌だからこその醍醐味だぜ!
紅白では1982年から歌詞テロップが表示されるようになったらしいが、つまりそれまではたとえ歌い間違えてもファン以外には気付かれにくく、ゴマカしやすい環境だったワケだ。
しかし思いっきり歌詞がテレビに映っている以上は、もうどうにもならない。
そんなうっかりミスをやらかせば動揺でグダグダになってしまいそうな所だが、そこは百戦錬磨のたかし、瞬時に立て直して残りは見事に歌いきる。
上手く丸く収めたかと思いきや、放送後にはNHKになんと8千件もの苦情が届いたという。
これには「ちょっと心に余裕のない人が多すぎね?」とか思っちゃいました。
江口洋介なら「心にダムはあるのかい?」と、涙ながらに諭してもおかしくない事態だぜ?

アタシからすりゃ「珍しいモン見れたぜラッキー♪」みたいな感覚なんですけどね…
逆に言えばこの頃の紅白が、国民にとっていかに注目度の高いイベントだったのかの証左かもしれない。
とにもかくにも、こうして彼にとっては苦すぎる紅白最初の『浪花節だよ人生は』は終わりを告げた…
「失敗も娯楽」の体現者
とはいっても演歌界の大御所であるたかし。
2021年までで40回もの出場回数を誇り、『浪花節だよ人生は』だけでも6回も歌唱している。
そして2006年の時も同曲で出場しているが、またしてもやらかしてしまう。
この時は紅白で三度目の歌唱であり、既に20年以上歌い続けている。
当然こちらサイドも腕組みしながらの余裕の視聴態勢で臨むところではあったが…
今度は三番の歌詞「人の情けに………」の後の言葉が浮かばず、またも謝罪!

そして再び沸き返るNHKホールw
20年後も我々に最高の笑いを届けてくれる、彼には頭が下がる思いでいっぱいです。
そんなたかしも紅白からは引退しちゃったが、まだだ、まだ我々には「うたコン」がある!
毎回録画している身とすりゃこれからも元気な姿を見せていただきたい所存でございます。
やっぱりアンタこそが演歌界のお祭り男だぜ!
それでは今回はこの辺で!
