至高の音楽番組『うたコン』
アタシにとってのお楽しみのテレビ番組と言えば「ほぼ毎週」の火曜日に放送されるNHKの歌番組である『うたコン』。

基本的には音楽番組はコレしか見ないので、休止の週にブチ当たると「なんだよ…今週は放送無いのかよ…じゃあ録画していた過去のヤツでも見るか…」とガッカリ感半端ない気持ちになるほどお気に入りの番組である。
現代のテレビの視聴者層と言えば高齢者が中心と言われて久しい昨今、音楽番組も懐メロ系が増えているみたいだがその中でもやはり『うたコン』は格別だ。
まずは「生放送が基本」という点は出演者の緊張感も視聴者に伝わり「さ、今からどんなパフォーマンスを見せてくれるんや?」という高揚感を与えてくれる。
そして「ストリングスも交えたビッグバンド編成による演奏」。
やっぱりこれにはテンション上がります。
80’sまでの歌番組では当たり前だったこの形式も、今となってはなかなかお目にかかれないものとなってしまっている中でこの番組の存在はありがたい。
しかも80’sの音楽は生バンドでもペラッペラなサウンドも多かったので、この番組の方式で演奏される往年の名曲に新たな感動をおぼえたり。
そんなアタシが愛してやまない『うたコン』にまた一つ新たな伝説が刻まれた。
レジェンド続々!アニソン特集回
5月20日放送回はアニメソング特集。
自分が生まれる遥か以前のアニソンもラインナップされ、レジェンド達も多数登場した垂涎の神回である。

去年カラオケで最も多く歌われた昭和の歌である『タッチ』の岩崎良美、そして平成に最も多く歌われたと言われている『残酷な天使のテーゼ』の高橋洋子の両雄が相並ぶ。
この時点ですでにスゴい。
さらには子供の頃に再放送で見ていた『いなかっぺ大将』の主題歌を歌う天童よしみ、そして水樹奈々とのデュエットも披露したアニソン界の女王である堀江美都子も見・参!
「昔はアニソン歌手に対する世間の風当たりが…」と、しみじみと話す美都子姐さん。
それが今や「売れたいんでアニソンやらせて下さい!オナシャス!」と血眼になる歌手で溢れかえる時代がやって来るとは…いったい誰が想像出来た?
極めつけは相変わらずのふつくしさでオレ達のハートをドギマギさせる斉藤由貴も登場する豪華絢爛ぶりは永久保存ものである。
由貴もいつの間にやら還暦近いだと?時の流れは速い…
それにしても生放送でこのメンツが揃うって…あぁ~録画しといて良かったわぁ~
…え?この回見てなかったの?よかったら…ウチくる?
そんな中でもオレのみならず日本中の視聴者がド肝を抜かれたであろう「あの男」が圧巻のステージを見せつけた。
番組のトップバッターを飾った尾藤イサオである。

歌ったナンバーはもちろん『あしたのジョー』だ。
リリース 1970年4月20日
作詞 寺山修司
作曲 八木正生
編曲 八木正生
オリコン 不明
売上げ 不明
絵柄のギャップも面白いアニメ版『ジョー』
1961年(!)から芸能活動を始め、あのビートルズ来日公演の前座も務めた彼。
そして1970年に放送を開始したアニメ版『ジョー』では主題歌を担当する事に。
今でも名作と語り継がれる伝説のボクシング漫画である『ジョー』。
自分は原作は未読なものの、アニメ版は再放送で1・2ともにほぼ全話視聴するほどハマっていたのも懐かしい…
1は泥臭い少年漫画風のタッチならば、1980年から放送された2はスタイリッシュかつチョイとお耽美な絵柄の青年漫画風へとモデルチェンジ。このギャップも面白さに一役買っている作品だ。
1と2でこれだけ違うジョーと葉子!


10年の歳月は二人をこんなに変えてしまったのか…
演出面に関しても、後のアニメ業界に多大な影響を与えた事でも知られる2。
ついでに言うと2の歌もいいよね…
いかん、話がいつものように脱線してしまう。すばやく本筋に戻すぜ!
地面に這いつくばり、泥水をすすりながらも立ち上がろうとする不屈のジョーを歌うには尾藤の歌声はまさにうってつけ。
それはブルース、もしくは演歌とも言っていいだろう。
印象的な「ルルルル~」のスキャット部分はレコーディングの際にうっかり歌詞忘れしてしまい、アドリブで歌ったところ「そっちの方がいいね!」と言われて採用されたとのこと。
あの頃から歌い続けてそして時代は令和へと…
…って、待てよ?70年の作品という事は55年前?もう半世紀過ぎちゃってる?
と、いうことはイサオさん、今の年齢は…
なんと驚きの御年81歳である。
未だ燃え続けるベテランたち
年齢にも驚くが、目を見張るべきはその若々しさ。
「逆サバ読んでない?」と尋ねたくなる程のエネルギッシュな見た目。
多少のメンテ(オブラートに包んだ表現)はしているだろうが、露骨なまでに不自然な若作りという姿ではない。背中は曲がり、足元もおぼつかないといった様子も画面上では一切見当たらない。
そして肝心の歌唱はどうだ?
いろんな歌手が還暦を過ぎた辺りからやたらと溜めを作り、崩して歌うようになる傾向が多くなる印象だが、原曲になるべく忠実に歌う様は当時そのもの。
はっきりとした滑舌で声もかすれず、震えず、上ずらず、というベテランになるほど困難になる歌唱にも不安定さは無い。
それほど喉に負担のかかる歌ではないといっても、驚異的なステージングだ。
さすがビートルズの来日公演を前座の立場を利用して、職権乱用で特等席で見た男は常人とは一味違うぜ!

去年同番組に出演した五歳年上の小林旭のパワフルな歌いっぷりにも驚いたが…
一体どうなってんだこの爺さんたち…
ちなみにアキラの元気の秘訣は「筋トレ・肉を食いまくる・女とヤる!」だそうです。(爆笑)
OH!マイトガイ!
ただし最後のは冗談っぽく言ってたので、ホントかどうかは知りません。
と、驚嘆とノスタルジーを存分に味わい、至福の時間を享受できたアニソン特集回の『うたコン』。
レジェンド歌手たちの中でも最年長の貫禄を見せつけたイサオ氏のロック魂は、今なお燃え続けておりました。
あぁ~ホンットに録画しといて良かったわぁ~
…え?この回見てなかったの?よかったら…ウチくる?(二回目)
それでは今回はこの辺で!