邦楽界の帝王の大人気2nd beat
かつてシングル盤の二曲目と言えば「B面」と言われるのが常だった。
それもやがて音楽メディアの主流がレコードからCDへと替わると「カップリング」と呼称されるようになる。
だがその中で独自の名称である「2nd beat」を使用する存在が現れる…
そうだ、ギター・作曲担当の松本孝弘とヴォーカル・作詞担当の稲葉浩志によるロックユニットであり90年代以降の邦楽シーンにおいて「MUTEKI」の存在感を示し続ける言わずと知れた「邦楽界の帝王」たるイカしたヤツら…
そのコンビの名は「オレ達の」…!

「B’z」!!
今回はそんな彼らの代表的2nd beatナンバー、『YOU&I』で行かせていただきます。
1995年一発目のシングル『ねがい』とともにリリースされた楽曲である。

リリース 1995年5月31日
作詞 稲葉浩志
作曲 松本孝弘
編曲 松本孝弘 稲葉浩志
オリコン 1位
売上げ 150万枚
そういえば昔放送していた『松本孝弘 B’z BEAT ZONE』という番組でも松本お薦めの他アーティストの2nd beatを紹介するコーナーもあったなぁ…なんてことも思い出しつつ。
歌詞はもちろん稲葉の手によるものだが、今作の詩はいつも以上にオレにぶっ刺さる内容だ。
女々しさこそが真骨頂
稲葉浩志といえば我々からすれば金も女も名誉もルックスも、そしてヴォーカリストとしての強靭な喉も手にした「羨望の塊」のような男であり、完全無欠のロックンローラーというべき存在…
しかしちょくちょく見せる彼の本質というべき部分は実にナイーブだ。
ステージ上で見せるアグレッシブな姿と違い、「内省的で、卑屈で、負け犬根性的」な歌詞がそこかしこに見え隠れするのが彼の特徴のひとつでもある。
今はともかく、昔の稲葉は「陰キャ」と言われていたのはファンにはよく知られている話。
だがアタシはそんな彼の歌詞が大好物でしてね…個人的にはこの世界観こそが彼の真骨頂だと思っております。
そしてこの『YOU&I』でもその持ち味が存分に発揮されている。
恋の敗者に捧ぐ歌
のっけから何事かと思わせる「きらいだ」で始まり、決して想いを伝えられない相手へのジレンマを切々と歌う男の恋心…
そんな自分に苛立ち、ヤケになり「いなくなってしまえ」とまで言い放つ身勝手な主人公。
女の子サイドからすれば「勝手に惚れた挙句、いなくなれとはどういう了見だ!アンタが消えな!」と言いたくなるところではあるが、男ってヤツはこういうわがままな生き物なんです…
いい関係の所まで行きながらも最後まで自分の本心を見せる事が出来ず、結局は悲恋に終わるという高倉健も呆れそうなくらいの不器用っぷりだが、だからこそ世の男たちの胸に沁みるわけで…
更には松本アニキによる往年のビーイング節を思わせる爽やかなメロディーに加え、やたらゴージャスなブラスやストリングスが逆に物悲しさを助長させるという手腕に脱帽でございます。
みんなも似たような経験は一度や二度はあるだろう。
でもオレ達はこうやって大人の階段を登っていくんだ。
たとえ成就せずとも『あなたに会えてよかった』と、キョンキョンばりに良き想い出へと昇華するまで、な?
「きっと~良~かったんだろぉ~ボ~ク~た~ちは~め~ぐ~り会~え~てぇ~♪」
…泣けるじゃねぇか…このラスト…(´;ω;`)ブワッ
そうだ、この歌はまさに「恋の敗者たちに捧げるレクイエム」なんだ!
今日はちょっぴり詩人な気分…
いや、この曲マジでA面で出しても良かったな!もったいなさすら感じるほどの名曲だぜ!
人気があるにもかかわらず何故か長いことライブでは演奏されなかったが「B’z LIVE-GYM 2015 -EPIC NIGHT-」にて久々にお披露目となった。

その時の観客の喜びっぷりといったらもう…
最高のパフォーマンスを見せるメンバーと一体化するドームの光景に、こちらも自然と目頭が熱くなり…
さあ日本中の男子よ、今宵だけでもほろ苦いけど美しい「あの時の叶わぬ恋」に今一度想いを馳せ、涙しながらこの曲を聴くのもいいんじゃないかい?
それでは今回はこの辺で!