たまたま目にしたテニス決勝で…
小学生の頃からさまざまなスポーツ番組を視聴してきたアタシ。
しかし寄る年波には抗えずに、今ではもうスポーツ中継を見ることも全くといっていいほど無くなってしまいました…
もうテレビの前で3時間くらい試合を眺め続けるのがしんどくなってきましてね…(苦笑)
寝っ転がってボケ~っと音楽聴いてる方がアマリニモ気楽すぎて…
そんな老いを隠せない今年の7月、たまたまテレビをつけた時にやってたのがウィンブルドンテニス男子決勝。
この大会も95年辺りから長年にわたって見ていたものの7、8年前からは卒業状態。
もう長いこと男子部門は同じようなメンツで優勝を争ってばかりで面白みに欠ける(逆に言えば、毎年安定して決勝まで勝ち上がれるトップシード選手たちがスゴすぎるわけだが…)のと、先述した通りスポーツそのものにも興味を失っているので華麗にスルー安定。
と、思っていたところに音楽好きなら、いやさメタルヲタなら見過ごせない字面が目に飛び込んできた!
それは決勝に進出した選手の名前だ。一方はシード1位のイタリアのヤニック・シナー、もう一方はシード2位のスペインのカルロス・アルカラス。

アタシにとっては両者とも初見のニューカマー。
と、いってもアルカラスは既に連覇を達成しているほどの猛者。
オレが知らぬ間にこの二人の超新星がテニス界を引っ張る存在になっていたのか…
そして興味を引かれたのは二人の英名での綴りだ。
「Sinner」と「Alcaraz」だと…?
頂上決戦!神vs王者
こんな名前を見てしまったら、オレのメタルセンサーが小池一夫先生ばりにギンッギンにエレクチオンするのはシゴく当然じゃないか!

そうだ、「メタルゴッド」Judas Priestのアルバム『背信の門』に収録の『Sinner』!
対するは、かつてメタル界に新風を巻き起こしながらもたった一作で空中分解した「HR界の横山やすし」ことグラハム・ボネットと、後に「王者」と称される速弾きの革命児かつ、「自称・伯爵」のイングヴェイ・マルムスティーン卿から成るバンド「初代・ALCATRAZZ」に他ならない…!
つってもメタル界隈なら「Sinner」なんて単語はよく出てくるし、なんなら同名のバンドもいたりもするが、ジューダス大好きおじさんのアタシからすりゃ真っ先に彼らの名前が挙がるのは詮無き事。

しかもジューダスは神、イングヴェイは王の異名を得ている同士。
まさかテニスの聖地で「鋼鉄神・シナーvs王者・アルカラス」のメタルな代理戦争が勃発!みたいな?
もういつにも増して妄想と暴走が「ハゲしいな!アンドルフくん」ってな感じになっちゃってるけど、この勢いに乗じてイクぜ!ジューダス・プリースト!

新たな環境で挑む三作目
前作『運命の翼』からいきなり劇的な音楽的飛躍を遂げたジューダス。今作からレコード会社も替わり、新たな制作体制へ。
そしてプロデューサーにはなんと元ディープ・パープルのロジャー・グローバーを起用。
バンドとしてもさらなる高みを目指したい所で、1977年にリリースしたのが3rdの『背信の門』だが…

- 罪業人
- ダイヤモンズ・アンド・ラスト
- スターブレイカー
- 最後の夏のバラ
- 危害者
- 不当なる弾圧
- 孤立の涙
- 異端からの反撃
ここでこれ以降もジューダスが長年苦しめられる事になるドラマー問題がまたしても浮上。
前任者のアラン・ムーアは前作『運命の翼』一作限りで脱退し、ドラムポジションは空白地帯へ。
そこに強力な協力者がスポット参戦してくる。
サイモン・フィリップス…なんと12歳の頃からプロドラマーとして活動し、以後数多くの有名ミュージシャンのサポートメンバーを歴任する名うての男だ。
後にTOTOでは正式メンバーとして加わり、長年バンドを支える事になる彼が20歳ごろに関わった仕事が本作。
この時点でプロとしてのキャリアは十分。ただHR/HM畑出身でない彼がどれだけジューダスとの親和性を発揮できるのか…本作における大きなポイントの一つでもある。
ヴォーカル ロブ・ハルフォード
ギター グレン・ティプトン
ギター K.Kダウニング
ベース イアン・ヒル
ドラムス サイモン・フィリップス
ジューダスも前作で手応えを掴んだであろう、自分たちのスタイルをどうハッテンさせるのかが焦点。
だがのっけからそんな杞憂は、遥か彼方へ吹っ飛ばしてくれる!
粒揃いの前半曲
OPナンバーの『罪業人』…つまり『Sinner』!
ドライブ感のあるロックンロールな曲調が早くもオレたちをノリノリにさせ、気付いた時にはロブといっしょに「スィナッ‼」の大合唱。1曲目から掴みはオッケーだ。
続いて2曲目は歌詞の内容はさておいて、デンデゲデンデゲなリズムが夕陽をバックにした西部劇のEDテーマに使ったらめっちゃマッチしそうな『ダイヤモンズ・アンド・ラスト』だ。
まだ2曲目なのにもかかわらず、もう名盤を確信しちゃうくらいの流れの良さ。
さらにさらに3曲目は本作で一番の推し曲『スターブレイカー』で畳み掛けられちゃあ、こっちは問答無用で昇天するのみ。
サイモンのキレのあるドラム捌きも堪能できる、アップテンポのナンバーだ。
4曲目の『最後の夏のバラ』はいつものヒステリックなロブとは180度違う優し気な歌唱で、まるでビリー・ジョエルの歌声とメロディーを思い起こさせるような一曲。
アルバムの構成的にも見事な緩急をつけ、バンドとしても奥の深さを見せつける。
ただ前半の楽曲に比べると、後半は地味変というか物足りなさは感じます。
…前半が神過ぎたか?ま、そこら辺は各々で判断していただくとして…
鋼鉄神の域まで到達するのはまだ先だとしても、これからのバンドのビジョンを掴んだ作品となったのは確か。
当然ジューダスのおススメアルバムの一つに数えられる作品である。
元々はジャズ畑出身らしいサイモンのドラミングもジューダスの楽曲に完全に適応しており、さすがのテクニシャンぶりを発揮。やりますねぇ~。
しかし助っ人でレコーディングに参加したサイモンもこれ一枚だけでお役御免になり、ジューダスの固定ドラマー探しの旅は続いていくのであった…
こっからでも10年以上かかるんだから、まだまだ先は長いんだぜ?
勝者、罪人
それで例のウィンブルドン頂上対決の件ですが、鋼鉄神シナーがシード1位の意地を見せ、男女のシングルスを通じてイタリア人初の芝の王者になりました。(結局最後まで見たヤツ)

それにしても「Sinner」って一般的には『罪人』って意味で使われるんだが、親もわざわざこんな名前をつけなくてもw(他には「ヤンチャ」とか「型破りな人間」といった意味もあるらしいが…)
そういえばイングヴェイ卿も「オレ様は型にハメられたりはしねーよ?正義はオレが決める!」なんて張五飛みたいなSinner発言をしてらっしゃいました。

今回の教訓は「大物になりたきゃSinnerに徹しろ」って事?
それでは今回はこの辺で!「スィナッ‼」