おらが町にベストテンがやって来る!
時には無謀、時にはド派手に様々な趣向を凝らして視聴者を楽しませてくれた、ご存じ80’sを代表する音楽番組『ザ・ベストテン』。
その中でまた一つ新たなチャレンジングな企画が、1983年に立ち上がる。
拠点であるTBSのGスタジオを飛び出し、年に一回、全国のとある会場を貸し切る『ベストテン公開生放送』の始まりである!
首都圏在住ならば公開放送である『ザ・トップテン』や『レッツゴーヤング』などの諸々の歌番組や、バラエティ番組を通じて多数の芸能人を拝める機会が多かった時代。
しかし、ただでさえ芸能人に遭遇するのは困難な各地方の視聴者にとっては、夢のような企画が誕生したのである。
なにせ我が地元に「あの」ベストテンが、今をときめく売れっ子歌手を一挙に引き連れてやってくる…
こんなビッグチャンスなんて間違いなく、人生で二度とないワケで…
当然のように観覧希望の応募総数もとんでもない規模になり、中継会場周辺も番組の為に惜しみなく総力を結集する一大イベントと化す。
もし実際に会場に居たって人は、一生モノの自慢にしちゃって下さい。
栄えある第一回は1983年11月10日の長崎から…だったのだが内容的にはやや消化不良気味。
司会の黒柳徹子は別件の関係からか、ニューヨークからの電話出演に留まる。
よりにもよってなんでこのタイミングで…w
他にも5位の高田みづえは東京から中継での出演、2位の中森明菜と3位の長渕剛が出演辞退と上位陣が現場に不在。
この状況に陥ったもう一人の司会者の久米宏はただ平謝りするしかなく、針のむしろ状態。

とどめに放送時は雨にもたたられ、リアル『長崎は今日も雨だった』状態と、ちょいと煮え切らない内容で終わってしまった初の公開ベストテン…

果たして翌年の出張回では大成功で終われるのか?
翌年の1位は84年の主役
注目の第二回目は1984年の10月25日、なんと岡山のプール場での開催と変化球をブン投げてきたベストテン。
だがこの会場こそが、今日だけは…この時間だけは、間違いなく岡山を日本の中心にさせる場所である。
とりあえず今回は徹子も出演で一安心。
ところがランクインの中森明菜、小泉今日子、近藤真彦、シブがき隊といった豪華メンツが軒並み東京からの出演と、現場のアイドルヲタには意気消沈になってもおかしくない事態。
しかし「特技:入水」の男・吉川晃司や、軍団も引き連れて「今週のスポットライト」枠で登場したビートたけしが彼らの不在を感じさせないほどに会場を盛り上げる。
そして肝心の1位では、この年一気に時代の寵児となったアイツらが有終の美を飾る!
そうだ、久留米ラーメンで育った「うまかっちゃん」な九州男児たち、チェッカーズ!

2nd『涙のリクエスト』で大ブレイクを果たし、84年の邦楽シーンの主役に躍り出た彼ら。
ベストテンでは3曲同時ランクインという離れ業も成し遂げた絶好調の頃である。
4枚目のシングルで初のバラードナンバーとなったのが『星屑のステージ』。
前3曲がアップテンポなナンバーだったので、ここいらでいっちょスローナンバーを投入してイメチェンを図りたい意向もあったに違いない。

リリース 1984年8月23日
作詞 売野雅勇
作曲 芹澤廣明
編曲 芹澤廣明
オリコン 1位
ベストテン 1位
売上げ 60万枚
一見、失恋の歌にも思える詩だが、実際はすでにこの世を去った想い人の事を歌った内容らしい。
歌詞の内容の「星屑」は単純に満天の星の事を指しているようでもあり、歌手を生業とする主人公がライブ会場で目にする観客のペンライトを星に見立てた中で、亡き彼女の事を思い浮かべているようでもありと、いろんなシチュエーションでこの歌詞世界に入り込めるのが良いところ。
「星」は「生」や「死」を意味するワードでもよく使われるので、この部分をきっぱりと明言せずに聴き手によって如何様にも想像の余地を持たせる歌詞づくりなのは、流石の売野テクニック。
こういうところが昭和に活躍した作詞家は上手いんですわ。
作曲はもちろん盟友の芹澤の手によるもので、チェッカーズのバラードナンバーの中ではダントツのフェイバリットソングである。
名曲だけど課題点もアリ
…なのだがここでアタシ的には問題が一つ。
とにかくこの楽曲、音がショボすぎる!
80年代といえば国内のみならず、全世界規模で音作りがチープになった傾向にあるが、この曲なんて最たるもの。
なんかデジタルでの録音環境がまだ始まったばかりで作り手も慣れていないとか、音の薄いシンセサイザーが大量導入された頃で音楽制作面でも転換期だからとか色々理由があるらしいが、この楽曲もモロにその煽りを食らった感があり。
チェッカーズの全シングル曲の中でも、一番チープなサウンドといってもいいくらいである。
せめてギターのペラッペラなテケテケサウンドが、もうちょい重みのある感じだったら良かったんだがなぁ…
バックの演奏も全体的にスカスカしているし、この点に関しては芹澤のアレンジにも問題があるのかもしれない。
このペラペラ音質問題は80’sナンバーだと、どうしても避けられないので仕方のないところなんですが…
あぁ、もう愚痴はここで終わりだ!
んで、本題に戻ってこの放送回では番組内で6週連続1位を獲得するという、まさに向かうところ敵なしの状態。

そして歌唱中には夜空に何発もの打ち上げ花火が祝砲をあげ、これにて岡山での公開ベストテンは幕を閉じたのであった…

一連の超人気アイドル群を直接見る事は叶わなかった岡山のファンたちではあったものの、最後にチェッカーズがキレイに締めてくれたので満足度は高かったんじゃないでしょうか。
初回は雨だった長崎、第二回は晴天の夜空の下での『星屑のステージ』と、図らずも連続で昭和の名曲のシチュエーションがうまいこと嚙み合った公開生放送の巻でした。
願いが叶った!うたコンでの披露
以前『うたコン』にフミヤが出演した記事を書いた際にオレはこう言っていた…
「うたコンで『星屑のステージ』が聴きた~い!」と…
ただ、もしフミヤがテレビで全盛期のチェッカーズの楽曲を歌うとなれば、『ギザギザハートの子守唄』、『涙のリクエスト』、『ジュリアに傷心』の3曲が選ばれる可能性が高いのではと予想していたのが正直なところ。
あ~演ってほしいなぁ~無理なんかなぁ~とか思っていた矢先に…
…え?来ちゃった…来ちゃったの?
来たああああああああ!
藤井フミヤ、5月19日のうたコンにて『星屑のステージ』を歌唱!!!
普段からうたコンでは事前に何の曲を演奏するのかは敢えてチェックしない主義なんで、番組の冒頭でいきなりこの曲で始まったときはガッツポーズしましたよ、えぇ。
今回は「主題歌特集」なるテーマで、かつてドラマ『うちの子にかぎって…』の主題歌だったこの曲にスポットが当たる。
よくやったNHK!
もちろん現役バリバリなのもあって喉の具合も絶好調。

まあどうしてもベテラン歌手によくあるタメがちな歌唱法になっていたり、例のスカスカサウンドは現代においてもオリジナルと大して変わらなかったり、せっかくバックにストリングス部隊もいたんだから活用してほしかったりと気になるところはあったものの(注文の多い視聴者)、それでもやっぱりうれしい事には変わりない。
今でも何回リピってんだってくらい見返しております。
近年になって初期チェッカーズ時代のナンバーもまた歌うようになったんで、もちろん今後も他の楽曲も期待してますよフミヤさん!
それでは今回はこの辺で!

