【麻薬を呼ぶ雨】タイトルだけで一等賞 小林麻美 with C-point『雨音はショパンの調べ』

雨とピアノ 邦楽

梅雨に聴きたい昭和のあの名曲

春夏秋冬を通じて様々な季節感を味わえる日本。

のみならず、6月には「第5の季節」と呼びたくなる梅雨のシーズンがやってくる。

この時分になると、どうしても雨に関係した歌を聴きたくなってくるのが人情。

「雨の歌」も音楽の世界ではどの歌手も一曲は扱っているんじゃなかろうか、というくらいの定番のネタだ。

無数に存在する雨の歌の中で、昭和最強クラスの一曲といえば…

あの頃みんなテレビで見たかった…コレは外せない!

小林麻美 with C-pointの『雨音はショパンの調べ』の出番や!

雨音はショパンの調べ

リリース  1984年4月21日
作詞    ガゼボ 松任谷由実
作曲    ピエールルイジ・ジョムビーニ
編曲    新川博 
オリコン  1位
ベストテン 3位
売上げ   52万枚

オリジナルを超えた?名カバー誕生

1972年にアイドル歌手としてデビューした小林。

ただアイドルらしからぬ暗い歌唱スタイルだったらしく、一般ウケはせずに苦戦する。

そこで事務所はモデルや女優業へ路線変更を行なったところ、これが大成功して一躍ファッションリーダー的存在へと見事な転身を果たす。

そんなこんなで、もう歌手としての小林は忘れ去られた頃に、とある誘いをかけられる。

相手はあの松任谷由実である。

小林とユーミン、実は同い年の二人であり、親友と呼べるほどの間柄。

きっかけは二十歳の頃にレストランで出会ったところから、両者の関係が芽生えたとのこと。

今回ユーミンが持ちかけた話は「お似合いの曲があるんで、もう一回歌手活動をやってみない?」というもの。

そこで提示されたのがイタリア出身の歌手で本国生まれのジャンル「イタロ・ディスコ」を代表する楽曲で、ちょっと顔立ちが河島英五に似ている気がしないでもないガゼボの『アイ・ライク・ショパン』である。

ご存じ「ピアノの詩人」フレデリック・ショパンと雨を題材にしたこの楽曲は、ヨーロッパを中心に大ヒットし、総売上げ800万枚以上というビッグセールスを達成、ここ日本でもオリコン洋楽チャートで13週連続1位の大記録を打ち立てる。

そんな名曲を耳にしたユーミンが、ぜひ彼女に歌わせてみたいと白羽の矢を立てたのだ。

もう何年も歌手活動からは距離を置いていたこともあり気乗りはしなかったらしいが、日本語詞はユーミンが手掛けるからと説得も受け、意を決してレコーディングに臨む。

この時に生まれた日本語バージョンこそが『雨音はショパンの調べ』…!

いや、ちょ待って?

ってかなんですか、このかっこ良すぎるタイトルは?

もう現時点で既にオリジナルを超越した「詩」を感じるやん?

このロマンティックが止まらなくなるほどの卓越したセンスが炸裂したタイトルだけで、名曲認定したくなる代物である。

加えて新川の手による秀逸なアレンジも、オリジナルに劣らぬドラマティックさを演出。

いかにも日本人好みなメロディーにマッチした小林のアンニュイな歌声が絶妙なハーモニーとなって彩ったこのナンバー、有線をきっかけにじわじわと人気を上げていき、遂にはオリコンで3週連続1位の快挙を成し遂げる!

やはり彼女を起用したユーミンの直感に狂いはなかったのだ!

リリースは1984年なので、当然「オレ達のザ・ベストテンでも長期ランクイン。

ただ残念なことにこの番組のみならず、他のテレビ番組でも一度も披露することはかなわず。

理由は「今の自分ではテレビでは十分なパフォーマンスを発揮できない」とやんわりお断りしていたものの、実際のところは別に本人が拒否していたものではなく事務所の方針らしい。

本人も自信がないと認める歌唱力を考慮しての事か、大成功しているモデル・女優のイメージを優先した結果か、もしくは「気休めは麻薬」の歌詞が放送コードに引っ掛かった事で事務所が二の足を踏んだ可能性もあるが、真相は不明。

この作品以外にも「麻薬」のキーワードが出てくる雨ソングといえば、これまた名曲中の名曲Xの『ENDLESS RAIN』があるが、こっちも当時は放送禁止ワード扱いになったらしいので、仕方がないのかもしれない。

雨は何かと麻薬を呼んでしまうのか?

なんにせよ今にして思えば勿体ない話だ。

結局の所この曲を初めて人前で歌ったのは、ユーミンも演出に関わった4年後の1988年の武道館コンサートの時である。

電撃復帰からのサプライズ歌唱

やがて1991年になると彼女は当時の所属事務所、田辺エージェンシー社長だった田邊昭知氏との結婚と長男の出産を発表、そして芸能界から退くことを決断する。

その際には一般人になることで「もうこれからは住む世界が違ってしまうから」と、近藤真彦ばりの『ケジメなさい』的ムーブをかまし、懇意にしていたユーミンとの関係も絶ってしまった小林。

ケジメなさい
麻美さん、カ・カ・カ・カッコつけたままサヨナラしちゃったよ…

よってこの曲を大衆が目にした機会も、例の武道館の時だけの幻のナンバーのままで終わってしまったのである。

かくして伝説の名曲の歌手として人々の記憶に残り続ける存在になったワケだが、四半世紀を過ぎた2016年に子供も巣立ったことを契機に、突如の電撃復帰を果たす!

25年もの長い間表舞台から遠ざかっていたとなれば、普通だったら復帰しても昔の面影は見当たらない容貌になっていてもおかしくないところ。

だが社長夫人という華やかなセレブ生活(勝手な想像)がそうさせたのか、はたまた本人の努力の賜物なのか、その姿はまさにみんなが思い描く彼女がそのまま年齢を重ねた、小林麻美である。

小林麻美
画像はGQ JAPANより

かつては大黒摩季ばりの『別れましょう私から 消えましょうあなたから』的ムーブをかまして疎遠になったユーミンとも、芸能界に復帰したことで昔ながらの関係に戻っただけでなく、なんと彼女のライブでゲスト出演し、この歌を披露するという超レアなこともやってのけた彼女。

別れましょう私から 消えましょうあなたから
やっぱり『別れません私から
消えませんあなたから

この曲を人前で歌ったのは今現在でも片手で数える程しかないっぽいので、実際に目の当たりにした人は稀に見る幸運の持ち主である。

だったらせっかく芸能活動を再開したのを機に、今度こそテレビで歌ってもいいんじゃないスか?

そこんところどうなんですか麻美さん!

あぁ~見たいなぁ~出来る事なら『うたコン』で!(コレばっか)

なんか「雨の歌を集めてみました」みたいな企画でもやって、出演してくれないかしら?

そういや雨ソングだったら以前に佐野元春の『レイン・ガール』を扱ってみたものの、実はあれって内容的にはほぼ雨要素ってないんだよな…

ま、それでもアタシ的には平成最高の雨ソングに違いないんだけども。

それはともかく、雨降りの日にはみんなも窓の外で降りしきる雨を眺めながらこの歌を聴いて、小林麻美になりきろうぜ!

ってなところで今回はこの辺で!

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